「施設のエントランスや中庭など、屋外にイルミネーションを飾りたいけど、雨や雪で壊れたりショートしたりしないだろうか」と、心配されているのではないでしょうか。
美しい光で冬の夜を彩るイルミネーションは、訪れる人の大切な時間を豊かにしてくれます。
しかし、屋外での使用には漏電や故障のリスクが伴うため、正しい知識が不可欠です。
この記事では、防水性能の高い製品の具体的な選び方から、漏電を防ぐ安全な設置方法、長持ちさせる保管方法まで、屋外イルミネーションの疑問すべてを解説します。
屋外イルミネーションに防水性能が不可欠な理由

屋外に設置するイルミネーションに防水性能が不可欠な理由は、常に雨や雪、夜露などの水分にさらされるリスクと隣り合わせのためです。
もし防水性能の低い製品を使ってしまうと、水分が内部に侵入して漏電やショートを引き起こし、火災などの大きな事故につながる恐れもあります。
また、装置への浸水は故障の原因にもなり、満を持して購入したイルミネーションがワンシーズンで使えなくなってしまうことも少なくありません。
訪問者を漏電のリスクから守り、長く安定的に運用するためにも、「防水性能」は屋外イルミネーションのもっとも重要なポイントの一つです。
屋外用防水イルミネーションのチェックポイント

ここでは、屋外で使用するイルミネーション製品のチェックポイントを解説します。
防水レベル(IP等級)の目安
一つ目のチェックポイントは、「IP等級」です。
IP等級とは製品の防水・防塵性能を示す国際的な規格のことで、以下の2桁の数字で表示されています。
- 1桁目:固形物(ホコリなど)の侵入に対する保護レベル(防塵性能)
- 2桁目:水の侵入に対する保護レベル(防水性能)
イルミネーションを設置する環境に応じて適切なIP等級があり、特に屋外で使用する場合は、2桁目の防水性能が「IP44」以上の製品が推奨されます。
選ぶべきIP等級の目安は以下の通りです。
IP等級 | 保護レベル | おすすめの設置場所 |
---|---|---|
IP44 | あらゆる方向からの水の飛沫に対する保護 | 直接強い雨が当たらない軒下や屋根付きベランダなど |
IP65 | あらゆる方向からの噴流水に対する保護 | 雨ざらしの庭木やフェンス、壁面など(一般的な屋外環境) |
IP67 | 一時的な水没でも影響がないレベルの保護 | 水たまりができやすい場所や、積雪の多い地域 |
特に、雨風に直接さらされる場所に設置する場合は、IP65以上の製品を選ぶことをおすすめします。
判断に迷う場合は、より等級の高い製品を選びましょう。
LEDの被覆とジョイントの構造
IP等級とあわせて、ケーブルや連結部分の作り(LEDの被覆とジョイントの構造)の頑丈さもチェックしましょう。
ケーブルは、芯線が厚いビニールで覆われた二重被覆構造になっている製品のほうが、断線しにくく長持ちします。
また、イルミネーション同士を連結するコネクタ部分に、水の侵入を防ぐためのゴムパッキン(Oリング)が入っているかどうかも重要なチェックポイントです。
保証期間とPSEマークの有無
保証期間の長さとPSEマークの有無も、製品の信頼性を判断する基準になります。
一般に、品質のレベルが高いほど保証期間が長く設定されているからです。
屋外で使用する場合には耐久性が必要なため、少なくとも6カ月以上の保証がある製品を使用することをおすすめします。
もう一点、「PSEマーク(〇の中にPSEの3文字が書かれたマーク)」が付いているかどうかもチェックしましょう。
PSEマークとは、日本の電気用品安全法が定める安全基準をクリアした製品にのみ表示が認められるマークのことです。
日本で製造された製品にはPSEマークが付いていますが、海外から輸入された安価な製品の中にはマークのないものも混在していることがあるため、購入時は必ずご確認ください。
ストリングライトの場合、PSEマークはストリング部分ではなく電源コード部分に記載されています。
失敗しない屋外イルミネーションの選び方

防水性能を把握したら、次はいよいよ具体的な製品選びです。
ここでは「電源タイプ」「種類・デザイン」「光の色」の観点から、イルミネーションを選ぶ方法を解説します。
電源タイプで選ぶ
屋外イルミネーションの電源方式は、主にソーラー式とコンセント式の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
ソーラー式は日中に太陽光で充電し、暗くなると自動で点灯するため、電気代がかからず、配線工事も不要で設置が簡単です。
電源の確保が難しい場所や、手軽に飾りたい場合に適しています。
ただし、天候に左右されやすく、曇りや雨の日が続くと点灯時間が短くなったり、光量が落ちたりする可能性があります。
一方、コンセント式は、家庭用電源から直接給電するため、安定した明るさと長時間の点灯が可能です。
光量や点灯パターンが豊富な製品が多く、本格的なイルミネーションを楽しみたい場合や、広い範囲を飾りたい場合に適しています。
しかし、電気代がかかる点と、電源確保のための配線が必要になる点がデメリットです。
設置場所や求める光量、点灯時間に合わせて最適な方式を選ぶことが重要です。
種類とデザインで選ぶ
イルミネーションライトにはさまざまな種類があり、どれを選択するかで空間の印象が大きく変わります。
代表的な種類と、それぞれの特徴は以下の通りです。
種類 | 特徴 | おすすめの設置場所・演出 |
---|---|---|
ストリングライト | 基本的な紐状のライト。直線、曲線など自由に形作れる。 | 庭木、フェンス、ベランダの手すり、窓枠 |
ネットライト | 網状にライトが配置されている。広範囲を均一に覆うのに便利。 | 生け垣、植え込み、壁面、窓 |
つらら(スノーフォール) | 軒下などから垂らす形状。光が流れるタイプもあり幻想的。 | 軒下、ベランダの天井、高さのあるフェンス |
モチーフライト | 星や雪、動物などの形になっている。置くだけでアクセントになる。 | 玄関先、庭、壁面 |
複数の種類を組み合わせることで、より立体的で魅力的な空間を演出できます。
光の色で選ぶ
イルミネーションの印象を決定づけるもう一つの要素が「光の色」です。
色の選び方一つで、空間をシックにも華やかにも演出できます。
光の色 | 与える印象 | おすすめのシーン |
---|---|---|
シャンパンゴールド | 温かみがあり、上品で高級感のある印象。特に人気が高い。 | あらゆる場所にマッチし、落ち着いた大人の雰囲気に。 |
ホワイト | クールで洗練された印象。雪景色を思わせるスタイリッシュな空間に。 | モノトーンの建物や、グリーンと合わせると映える。 |
ブルー | 幻想的で落ち着いた印象。静かで澄んだ冬の夜空を表現できる。 | ホワイトと組み合わせると、よりクールな印象に。 |
ミックスカラー | 賑やかで楽しい印象。クリスマスムード満点の華やかな空間に。 | 子供部屋の窓辺や、パーティーシーンに。 |
統一感のあるおしゃれな装飾にするには、ベースとなる色を1〜2色に絞ることがポイントです。
施設の外壁の色や、目指す雰囲気に合わせて色を選んでみましょう。
【最重要】漏電を防ぐ!コンセント・プラグ周りの防水対策

たとえ高性能な防水イルミネーションを選んだとしても、電源周りが無防備では漏電のリスクが残ってしまいます。
ここでは、コンセント・プラグ周りの実践的な防水対策を解説します。
屋外コンセントを使う
イルミネーションの電源は、可能な限り屋外用のコンセントから取りましょう。
屋外専用のコンセントには防水カバーが付いており、雨水に強い仕様になっているためです。
もし屋外にコンセントがなく、やむを得ず屋内から延長コードで引く場合には、「屋外用」と表示された防水仕様の延長コードを使用してください。
ジョイント部分をビニールテープで補強する
ライトとコードのジョイント部分を、ビニールテープなどで補強することも重要な安全対策です。
イルミネーションの連結部分(コネクタ)や、延長コードとの接続部分からは水が侵入しやすく、浸水すれば故障の原因にもなります。
特にIP規格65未満の製品を使う場合は、以下の方法で保護することをおすすめします。
- 接続部分に「自己融着テープ」を隙間なく2〜3周巻き付ける
- 自己融着テープの上からビニールテープを巻いてカバーする
通常のビニールテープのみでは劣化しやすく防水性も低いため、自己融着テープを併用しましょう。
電源アダプタを防水加工する
電源アダプタの防水加工も忘れないようにしましょう。
イルミネーションの電源アダプタやコントローラーは、防水仕様になっているとは限りません。
そのため、ビニール袋を掛けるか、市販の「電源ボックス」に入れて電源に雨水が入らないよう保護しましょう。
ビニール袋で保護する場合には、縛り口を上に向けると雨水が入り込んでしまうので、口を下に向けて縛ることがポイントです。
ドリップループを設ける
コードのコンセント手前に「ドリップループ」を設けることも、コンセントを雨水から守るポイントです。
ドリップループとは、コンセントに差し込む手前のコードを、下に向けてU字型にたるませる防水手法です。
ドリップループがあれば、コードを伝って入ってきた雨水がたるみの下部へ流れ落ちてくれるので、コンセント部分への雨水の侵入を防げます。
感電防止対策をする
漏電が起こると感電のリスクがあるため、イルミネーションの電源は漏電遮断器(漏電ブレーカー)の設置された回路から取ることが大切です。
漏電遮断器の設置には電気工事士の資格が必要なため、未設置の場合は専門の電気工事業者に依頼しましょう。
なお、漏電遮断器の設置とアース接続はセットで行う必要があります。
コンセントにアース端子がないときの増設工事も、電気工事士のいる業者への依頼が必要です。
プロが教える!イルミネーションを長持ちさせるコツ

屋外用イルミネーション装置を定常的に設置したい方や、シーズン毎に毎年使いたい方もいるでしょう。
ここでは、購入したイルミネーションを長持ちさせるためのメンテナンスと保管のコツをご紹介します。
定期的なメンテナンスを行う
イルミネーションを設置している期間中は、定期的にメンテナンスをする必要があります。
長期間設置する場合には、少なくとも2~3カ月に1回は、以下のポイントを点検しましょう。
- 球切れや、部分的に暗くなっている所はないか
- コードに傷や破れはないか
- コネクタ部分の緩みはないか
異常を見つけたらすぐに電源を抜き、問題のある部分を交換・修理してください。
定期点検以外にも、強風や大雨の後は別途チェックが必要です。
湿気や直射日光を避けて保管する
イルミネーションの撤去後、製品を長持ちさせるためには、湿気と直射日光を避けて保管することが鉄則です。
電気部品やコードは湿気や直射日光を受け続けると、劣化が進みやすくなります。
コードのカバーが劣化した状態で再度使用すると、断線による漏電の原因にもなるため、保管方法には留意しましょう。
通気性の良い場所に保管する
イルミネーションの保管時は水気を取り、通気性の良い場所に収納しましょう。
イルミネーションの撤去後は、以下の手順で手入れをしてください。
- 本体や部品の水分や汚れを乾いた布で拭き取る
- 風通しの良い所で十分に乾燥させる
- 購入時の箱や袋、なければ通気性の良い収納ケースに入れ、風通しの良い場所で保管する
この際に、コードは断線を防ぐために緩めに巻き取ってから、ビニールタイで留めておくことをおすすめします。
カットした段ボールなどに巻き付けると、絡まりを防ぎ、次回使うときにスムーズに取り出せます。
屋外イルミネーションの気になるQ&A

ここでは、屋外イルミネーションに関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. LEDイルミネーションの電気代、1カ月でいくら?
LEDイルミネーションの1カ月の電気代は、点灯時間や消費電力にもよりますが、数十~数百円程度が目安です。
以下のケースで電気代を計算してみましょう。
項目 | 数値 |
---|---|
消費電力 | 10W |
1日の点灯時間 | 6 時間 |
1カ月の点灯日数 | 30 日 |
電気料金単価 | 31 円/kWh |
1カ月の電気代 | 55.8 円 |
Q2. 信頼できる製品を見分けるポイントは?
信頼できる製品を見分ける簡単で確実な方法は「PSEマーク」の有無を確認することです。
PSEマークは、日本の法律(電気用品安全法)で定められた安全基準を満たしていることを証明するものであり、このマークがない製品は、日本国内での販売が禁止されており、安全性も保証されていません。
購入前には、製品本体やパッケージにPSEマークがあることを確認しましょう。
Q3.冬の雪でも使えますか?
適切な防水性能を持つ製品であれば、基本的に雪の中でも使用可能です。
積雪が多い地域では、防水等級がIP67の製品を選ぶと安心です。
ただし、雪の重みでコードが断線したり、除雪作業で傷つけたりしないよう、設置場所に留意しましょう。
低温時はコードが固くなり断線しやすいので、点検を怠らないことがポイントです。
Q4.商業施設で使う場合、耐久性はどれくらいがよい?
「業務用」と記載された製品や、IP67以上の高い防水・防塵性能を持つ製品を選びましょう。
ケーブルの太い製品や保証期間の長い製品も大型施設に適しています。
商業施設などで長期間、広範囲にイルミネーションを設置する場合は、求められる耐久性や安全面の要件が厳しくなるので、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
まとめ:屋外イルミネーションは正しい防水で、安全に美しい冬の夜を演出しよう

屋外でイルミネーションの美しい光の演出を安心して楽しむためには、正しい防水の知識が不可欠です。
設置する環境に適した防水性能(IP等級のIP65以上)を選択し、コンセント周りの防水対策、漏電防止対策も心がけてください。
もし防水イルミネーションの選定や設置に不安がある場合は、プロに一任してみてはいかがでしょうか。
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