施設の「顔」ともいえるエントランス。その第一印象が、訪れる人の期待感や安心感、そしてブランドへの信頼感に大きな影響を与えることは、もはや常識となりつつあります。そんな重要な空間において、グラフィックシートを活用することは、視覚的な演出だけでなく、情報伝達やブランド訴求の面でも非常に有効な手段です。
グラフィックシートを用いることで、企業や施設のロゴ、ブランドカラー、キャッチコピーなどを効果的に表現できます。また、最新の情報やキャンペーン告知、営業時間などの実用的な情報も、スタイリッシュなデザインで掲出することが可能です。これにより、来館者はもちろん、エントランス前を通行する歩行者に対しても、施設の「姿勢」や「価値観」を印象付けることができます。
実際に街中を歩いてみると、ガラス張りのビルや店舗のエントランス部分には、多くの施設がグラフィックシートを活用してブランドをアピールしている様子が見られます。ロゴマークを大きく表示して視認性を高めたり、透明感のあるシートを活かして内観と外観を調和させたりするなど、その活用法は多岐にわたります。
こうした「魅せるガラス面デザイン」は、近年では企業オフィス、病院、商業施設、教育機関など、さまざまな分野で取り入れられ、施設のブランディングや差別化に役立っています。特に近年は、感染症対策でガラスパーテーションが多用されるようになったことも相まって、空間の「透明性」をデザインで活かすニーズが急速に高まっています。
しかし、ガラス面へのグラフィックシート導入にあたっては、ただデザインを施すだけではなく、「用途」に応じた素材の選定が非常に重要になります。視線を遮りたいのか、光を通したいのか、屋外使用か屋内使用か、短期間か長期間か――目的に適した素材を選ぶことで、仕上がりの美しさと機能性の両立が可能になります。
これからガラス面へのグラフィックシートを検討する方に向けて、エントランスのガラス面や吹き抜けのガラスなどにぴったりの素材選びのヒントをご紹介していきます。空間にふさわしい素材とデザインを選ぶことで、あなたの施設の魅力をさらに高める第一歩になるでしょう。
グラフィックシートとは?
グラフィックシートとは、主に粘着性のある特殊フィルムシートにフルカラー印刷を施し、壁面やガラス面に直接貼ることで空間を演出・装飾できる視覚的ツールです。その汎用性の高さから、商業施設やオフィスビル、医療機関、教育施設など、さまざまな空間での演出・案内・ブランディングに用いられています。
グラフィックシートは、単なる装飾アイテムにとどまらず、ロゴマークや写真、イラスト、文字情報など、自由度の高いビジュアル表現が可能です。施設の雰囲気やコンセプトに合わせてデザインを柔軟にカスタマイズできるため、ブランドイメージの構築やイベント時の演出、案内表示にも効果を発揮します。
その用途は非常に多岐にわたり、たとえば通りに面したガラス窓に施設名やキャンペーン情報を掲出したり、エントランスのガラスにロゴやスローガンをあしらったりすることで、視認性を高めながら来訪者への訴求力を強化することができます。また、商業施設内のエスカレーター脇にあるガラス面に商品ビジュアルやブランドカラーを使った装飾を施せば、動線に沿った自然なプロモーションも可能になります。
さらに、吹き抜け空間の手すり部分のガラスや、ガラスパーテーション、ショーウィンドウの装飾などにも活用でき、施設全体の印象を統一感のある空間へと仕立てることができます。ガラス面への施工は、空間の明るさや開放感を損なうことなく情報を伝えられる点が魅力で、プライバシー性を高める役割も併せ持ちます。
このように、グラフィックシートは機能性とデザイン性を兼ね備えた現代的な空間演出ツールとして、建築や内装の現場において欠かせない存在となりつつあります。施設の印象を高め、来館者との新たなコミュニケーションを創出する手段として、ますます注目されています。


ガラス面に適したグラフィックシートの素材とその特徴
用途や場所に応じて、グラフィックシートに使われる素材は変わります。ここでは代表的な素材を用途別に紹介します。
カッティングシート
- 特徴:単色のシートを使用するガラス面シートで、比較的安価なシートです。
- 用途例:ブランドロゴ、営業時間など、基本情報等を掲出したい場合。
- おすすめ施設:病院、ジム、オフィスなど。
粘着シート
- 特徴:裏面がグレーまたは白の透けない遮光性のあるガラス面シートです。
- 用途例:店舗の目隠しや日よけに最適なので、閉店した店舗の目隠しやはっきりとグラフィックを見せたい場合。
- おすすめ施設:商業施設、ジム、ガソリンスタンド、塾、オフィスなど。
透明シート
- 特徴:透明のシートにグラフィックを印刷するデザインの自由度の高いガラス面シート。
- 用途例:表面と裏面からも絵柄が見えるので、季節の演出やブランド力の訴求に最適。
- おすすめ施設:商業施設、ジム、ガソリンスタンド、塾、オフィス、美容室など。
グラフィックシートの素材別の活用例
グラフィックシートの素材の違いがわかった次は、具体的な活用例をご紹介します。
カッティングシート
カッティングシートとは、あらかじめ色がついた塩ビ系のフィルムに糊(のり)が付いた素材で、主に文字やロゴマークなどを切り出して使用する装飾シートです。屋内外のさまざまな場所で使用されており、ガラス面や壁面、サインボードなどに直接貼り付けることで、情報発信やブランド訴求を手軽に行うことができます。
カッティングシートの特徴の一つは、糊付きでありながら、表面と裏面が同じ色で仕上がっている点です。そのため、ガラスの内側から外向きに貼る「裏貼り(反転貼り)」を行った場合でも、裏側から見たときの色味に違和感がなく、美しく仕上げることが可能です。ガラス越しにシートが透けるシーンでも、表裏の統一感を保った演出ができます。
また、カッティングシートはデザインをシート全体に印刷するのではなく、必要な形に“切り出して”使うため、背景を大きく覆うことがありません。たとえば、透明ガラスにロゴや営業時間、案内文字などを貼る際にも、背景の景色や光を損なうことなく情報を表示することができます。これにより、ガラスの開放感をそのままに、必要な情報だけをスマートに視覚化できるのです。
このような特徴から、カッティングシートは店舗や企業のエントランスガラス、病院や施設の案内、公共施設のサイン表示など、視認性とデザイン性を両立させたい場面で重宝されています。「シンプルでわかりやすい」「施工後の見た目がすっきりしている」「コストパフォーマンスが高い」といった点が評価され、サイン制作の定番素材として長年にわたり選ばれています。


粘着シート
ホームページでは「粘着シート」と呼んでおりますが、弊社では実際には塩ビシートというシートを施工時は使用しております。これは、正式には「ポリ塩化ビニル(PVC)」という合成樹脂を主原料とし、薄く加工されたシート状の製品です。施工面に粘着剤が付いており、様々な場所に簡単に貼り付けることができます。
この粘着シートの最大の特長のひとつは、非常に優れた耐久性です。衝撃に対する強さはもちろんのこと、熱や紫外線に対しても高い耐性を持ち、屋内外問わず、長期間にわたって色褪せや劣化が起こりにくいというメリットがあります。そのため、看板やガラス面の装飾、広告用途など、屋外での使用にも最適です。
さらに、水分にも強いため、雨風にさらされる環境下でも安心してご利用いただけます。裏面がグレーまたは白の不透明な素材となっており、高い遮光性を備えているのも特長です。これにより、シートを貼った際に向こう側が透けて見えることがなく、日差しの強い窓面や、改装・工事中の店舗の目隠しとしても非常に効果的です。インクジェット出力に対応しているため、カッティングシートとは異なり、フルカラーで高精細なグラフィック表現が可能です。写真やイラスト、グラデーションなど、自由度の高いデザインにも対応できます。
さらに、透過性のない素材であることから、カッティングシートのように裏面が透ける心配がありません。ガラス面の両面にシートを貼り込む施工方法でも、表裏の文字が反転することなく、正しい情報を表示することができます。これにより、下記の画像のように表面と裏面で違うデザインにすることも可能になり、デザインの幅が広がることで、より訴求性の強いシートの設置が可能です。


透明シート
透明シートは、その名の通り素材自体が透明なシートで、インクジェット出力によってグラフィックを印刷することができるタイプのシートです。素材そのものが高い透過性を持っているため、印刷後も透明感を活かした演出が可能で、非常に自由度の高いデザイン表現を実現できます。
弊社では、特に季節ごとの装飾やディスプレイ演出において、この透明シートを多く活用しています。たとえば、春には桜の花びら、夏には海や花火など、背景が透けて見えるグラフィックをガラス面に施すことで、空間全体に季節感やテーマ性を持たせた演出が可能です。
透明シートの特長のひとつは、印刷表現の幅広さです。半透明のグラフィックや繊細なグラデーション表現も対応しており、ガラスの向こう側を適度に見せつつ、デザインとしての存在感をしっかりと確保できます。たとえば、背景部分はうっすらと透けるデザインにしつつ、ロゴやキャッチコピーなど伝えたい情報はくっきりと出力することで、メリハリのある効果的なビジュアルが作れます。
さらに、白インクでの印刷が可能である点も、透明シートならではの大きな魅力です。完全な遮光を必要としない場合、白インクを用いることで適度な透け感を保ちつつ、文字やイラストをしっかりと浮かび上がらせることができます。これにより、屋外からの自然光を活かした演出が可能になり、室内の明るさを損なわずにガラス面全体を活用した装飾が実現します。
このように透明シートは、ビジュアル面での自由度と、光を取り入れる機能性を兼ね備えた優れた素材です。店舗のウィンドウ装飾はもちろん、オフィスの間仕切りガラスやイベントブースの演出など、さまざまなシーンで活躍します。視線を遮りすぎず、かつ印象的なデザインで空間を彩りたい場面に最適なソリューションです。


まとめ|ガラス面に適したグラフィックシートの素材とその使い方
店舗のウィンドウディスプレイやオフィスの間仕切り、施設の案内表示など、ガラス面を活用したグラフィック表現は視認性が高く、空間演出にも効果的です。しかし、目的や設置環境に応じて最適な素材を選ばなければ、期待した効果が得られないこともあります。
用途や予算、設置場所の条件に応じて、最適な素材を選びましょう。
- カッティングシート:糊の付いた単色のシートなので、比較的安価。シンプルな情報をガラス面に設置する際に最適。
- 粘着シート:遮光性が強いシート。はっきりと文字を見せたい場合やガラスの表と裏で違う情報を訴求したい時などに最適。
※ただし、飛散防止フィルムなどが施工されたガラスには貼り付けが難しい場合があるため、事前の確認が必要です。 - 透明シート:透過性があり、色を透けさせたりグラデーションにするなど表現が多彩。季節装飾や表と裏から色が欲しい場合に最適。
※通常の貼付方法では裏側から見ると文字などが反転してしまうため、非反転のデザインが必要な場合は、事前にご相談ください。
目的に合った素材を選ぶことで、ガラス面を使ったグラフィック表現の効果は大きく向上します。「目隠しとして使いたい」「店内の雰囲気を演出したい」「両面から情報を伝えたい」など、シートの特性を理解して施工に反映させることが成功のカギです。
シートの素材選定やデザインだけでなく、「この場所に貼れるか分からない」「施工に適した素材が分からない」といったお悩みにも、当社メディックでは現場調査から丁寧に対応いたします。
初めてのご依頼でも安心してご相談いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。