グラフィックシート|ガラスに貼る「内側貼り」その3つのメリットとは?

施工風景

商業施設やオフィスビル、ショーウィンドウなどのガラス面に貼られているグラフィックシートは、いまや街の景観の一部として当たり前に目にする存在です。こうしたグラフィックシートは、店舗の雰囲気づくりやブランドイメージの構築、さらには期間限定のキャンペーンやイベント告知など、視覚的な訴求力を活かした販促ツールとして幅広く活用されています。

ところで皆さんは、こうしたグラフィックシートが「ガラスの外側」から貼られているのか、「内側」から貼られているのかを意識したことはありますか?

ぱっと見ただけではどちらから貼られているのか分かりにくく、どちらも同じように見えるかもしれません。しかし、実際には多くの現場で外側から貼る「外貼り施工」が一般的に行われています。

そんな中、あえて「ガラスの内側から貼る」という選択をする現場が増えているのには理由があります。
それは、内貼りには外貼りにはない大きなメリットがあるからです。

本記事では、「ガラス面にグラフィックシートを内側から貼ること」に着目し、その代表的な3つのメリットをわかりやすくご紹介します。
外貼りと比べたときの違いや、内側貼りが選ばれる理由を知ることで、より効果的な掲出方法が選べるようになります。

そもそもグラフィックシートとは?

グラフィックシートとは、主に粘着性のある特殊フィルムシートにフルカラー印刷を施し、壁面やガラス面に直接貼ることで空間を演出・装飾できる視覚的ツールです。その汎用性の高さから、商業施設やオフィスビル、医療機関、教育施設など、さまざまな空間での演出・案内・ブランディングに用いられています。

グラフィックシートは、単なる装飾アイテムにとどまらず、ロゴマークや写真、イラスト、文字情報など、自由度の高いビジュアル表現が可能です。施設の雰囲気やコンセプトに合わせてデザインを柔軟にカスタマイズできるため、ブランドイメージの構築やイベント時の演出、案内表示にも効果を発揮します。

その用途は非常に多岐にわたり、たとえば通りに面したガラス窓に施設名やキャンペーン情報を掲出したり、エントランスのガラスにロゴやスローガンをあしらったりすことで、視認性を高めながら来訪者への訴求力を強化することができます。また、商業施設内のエスカレーター脇にあるガラス面に商品ビジュアルやブランドカラーを使った装飾を施せば、動線に沿った自然なプロモーションも可能になります。

さらに、吹き抜け空間の手すり部分のガラスや、ガラスパーテーション、ショーウィンドウの装飾などにも活用でき、施設全体の印象を統一感のある空間へと仕立てることができます。ガラス面への施工は、空間の明るさや開放感を損なうことなく情報を伝えられる点が魅力で、プライバシー性を高める役割も併せ持ちます。

このように、グラフィックシートは機能性とデザイン性を兼ね備えた現代的な空間演出ツールとして、建築や内装の現場において欠かせない存在となりつつあります。施設の印象を高め、来館者との新たなコミュニケーションを創出する手段として、ますます注目されています。

ガラスシート

メリット1|屋外広告物規制の対象外になりやすい

屋外に広告を掲出する場合、建築物の構造や立地エリアによっては屋外広告物条例の適用を受ける可能性があります。
この条例は都道府県や市区町村ごとに異なり、広告物の大きさ・内容・掲出位置などに制限があるほか、事前申請や許可取得が必要になることもあります。

例えば神奈川県の商業施設の屋外広告条例によると壁面利用広告は30㎡以下または壁面全体の1/10となっています。
一見多く広告が掲載出来るよう思えますが商業施設の場合、施設のロゴ看板や館に入っている店舗をアピールする為のロゴ看板であったりと様々看板が設置されることを考えると突発的なキャンペーンや施策のアピールまで補えない可能性があります。
そこで活躍するのが内側から設置するグラフィックシートです。

ガラスの内側に掲出されたグラフィックシートは、建物内部の装飾として扱われるケースが多く、屋外広告物とは見なされないことがほとんどです。

(引用:神奈川県ホームページhttps://www.pref.kanagawa.jp/docs/x2n/cnt/f692/index.html

内貼りによる広告掲出のメリット

  • 自治体の広告規制に縛られない
  • 申請手続き不要で、短納期の掲出も可能
  • 内容の制限が少なく、ブランドイメージを自由に表現できる
  • キャンペーンや季節装飾など、頻繁なデザイン変更にも対応可能

特に、商業施設の短期プロモーションやイベント周知など、スピード感が求められる広告展開において、この柔軟性は大きな強みとなります。

メリット2|高所作業不要で、コストも安全性もアップ

内側からの施工をすることで、2階以上の高所でも、室内から安全・効率的に施工が可能になります。

商業施設やオフィスビルでは、2階や3階、場合によってはそれ以上の高層階のガラス面にグラフィックシートを掲出するケースも少なくありません。
このような高所にあるガラス面に外側からシートを貼る場合、基本的には高所作業車や仮設足場の設置が必須となります。

しかし、高所作業には多くの課題があります。
まず第一に、施工費用が高額になる点です。高所作業車の手配、交通規制、資格を持った作業員の確保など、施工準備だけでも多くのコストと時間がかかります。
また、天候や風の影響によって作業の延期が発生することもあり、スケジュール管理も難しくなるのが実情です。加えて、作業者の転落リスクや周囲への安全配慮といった現場管理の負担も避けられません。

そこで注目されているのが、貼り施工という選択肢です。
グラフィックシートをガラスの内側から貼ることで、作業はすべて建物の室内から行うことができ、高所作業車や足場の設置が不要になります。
資材や作業スタッフはエレベーターや階段を使用して搬入できるため、通常の室内施工と同じレベルの安全性と効率性で作業が進められるのが大きなメリットです。

内側からの施工は、経済的で安全性にも優れており、短納期かつ柔軟な対応が可能な点で、多くの施設運営者やテナントから選ばれています。

内貼り施工の経済的メリット

  • 高所作業費・足場設置費の削減
  • 設置時間の短縮による人件費カット
  • 夜間や営業前など短時間での作業が可能
  • 作業員の落下リスクがなく、安全性が高い

施工にかかるトータルコストが抑えられ、作業の柔軟性も向上するため、施設運営側からの評価も高い施工方法です。

ビル

メリット3|雨・風・紫外線の影響を受けにくく、長持ち

外貼り施工されたグラフィックシートは、常に外気にさらされるため、天候や環境要因による劣化リスクを避けることができません。
特に、日差しの強い南向きの窓面や、海沿いや高層ビルなど風の影響を受けやすい立地では、直射日光や強風、雨水、粉塵などが直接シートに当たることで、想定より早く浮きやめくれ、さらには色あせが発生するケースもあります。

こうした自然環境によるダメージは、シート自体の寿命を縮めるだけでなく、美観の低下によるブランドイメージの損失にもつながりかねません。
また、施工後の状態を定期的に確認し、張り替えや補修を行う手間やコストも発生するため、運用面での負担も大きくなります。

一方、グラフィックシートをガラスの内側から貼る「内側貼り施工」であれば、ガラスが天然の保護バリアとして機能します。
雨や風、紫外線、汚れなどの外的要因が直接シートに触れることがなく、劣化スピードを大幅に抑えることができるのです。

そのため、内貼り施工は、長期掲出を前提とした広告ビジュアルや、頻繁なメンテナンスが難しい高所の掲出に特におすすめです。美しさを長期間維持しながら、運用コストも抑えることができる、効率的かつ合理的な掲出方法と言えるでしょう。

内貼り施工の経済的メリット

  • UV(紫外線)や湿気の直接的影響を回避
  • 雨風による剥がれや傷みが発生しにくい
  • 汚れやホコリの付着も少なく、清掃しやすい
  • 作業員の落下リスクがなく、安全性が高い
  • 美観を長く保ち、ブランドイメージの損失を防止

定期的な張り替えが難しい高所や大型施設においては、維持管理のしやすさも重要なポイントです。

雨

内貼り施工に向いている場所・シーンは?

ガラスの内側からグラフィックシートを貼る方法は、以下のような施設・目的に最適です。

  • 商業施設・ショッピングモール
    テナントの空きスペースを装飾し、集客につなげる仮囲い装飾や告知に有効。シーズンごとのキャンペーン展開にも柔軟に対応できます。
  • 駅ビル・公共施設
    掲出規制の厳しい都市部でも、構内や通路のガラスを利用して安全かつ確実に掲出できる。
  • オフィスビル・高層ビル
    2階以上のフロアにあるガラス面でも、室内作業だけで完結。美観を損なわず、コストも抑えられる。
  • ショーウィンドウ
    商品の世界観や高級感をガラス越しに演出。紫外線からデザインを守りながら、通行人の目を引くビジュアルが可能に。

まとめ|ガラスの内側から貼るだけで、広告の自由度と効率が向上

ガラスに貼るグラフィックシートは、「内側貼り」という選択によって、以下のような大きなメリットを得られます

  • 規制対象外のため、デザイン自由度が高い
  • 高所作業不要でコスト削減・安全施工が可能
  • 気象による劣化を防ぎ、美観を長く保てる

屋外広告としての効果を保ちながら、建物の構造や管理面に配慮した最適な掲出方法が求められる現代において、「ガラス内側貼り」は最も合理的な選択肢の一つと言えるでしょう。

施工をご検討中の方は、掲出予定場所の条件や広告内容に合わせて、ぜひ「内貼り施工」を取り入れてみてはいかがでしょうか。